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新刊『ウェルギリウスの死』(上・下)
2024年5月20日発売!

20世紀ドイツ文学の記念碑的小説復刊!
古代ローマの大詩人ウェルギリウスの死の直前の18時間を描いたヘルマン・ブロッホの畢生の大作です。1977年刊行集英社世界の文学に収録されていた同書名の復刊ですが、SNS等でも常に刊行を望む声が挙がっている幻とも言える名著です。

ヘルマン・ブロッホについて
1886年ウィーンでユダヤ系の裕福な紡績業者の長男として生まれ、実業家としての道を歩みますが一転、1927年に工場を売却し、その後ウィーン大学で聴講生として数学、哲学、心理学を学びます。1931年から1933年に長編小説『夢遊の人々』を発表。1938年にナチスに逮捕拘禁されますが、拘束中には『ウェルギリウスの死』の執筆を続けています。ジェイムズ・ジョイスなど外国作家たちの尽力で解放され、イギリスを経てアメリカへ渡ります。1945年に『ウェルギリウスの死』、1950年に『罪なき人々』を発表。プリンストン大学では群衆心理学を研究し、論文も発表しています。ノーベル文学賞候補となりますが、1951年死去。『誘惑者』は生前には発表されず、遺稿を整理する形で1953年に全集に収められました。

今どき、今ごろにどうして復刊?
著者はユダヤ系オーストリア人で、ナチスに拘禁され死を覚悟したことがあります。解放後は群衆心理学の研究に没頭、ナチス台頭の仕組みを研究し、二度とファシズムが起きないことに自分の作品が少しでも貢献できることを願っています。新たな戦前とも言われる現代にこの著者の作品を読むことは意味あることだと考えています。

集英社版世界の文学では2段組でしたが、本書は1段組で、サイズもB6変型(174mm × 120mm)なので、文庫ほどではないですが、手に収まりやすく、読みやすく、持ち運びしやすく、と読みやすさを求めました。長く読まれ続くことを願っています。ただし、内容は難解です。漢字も略字に変更しておらず、オリジナルのままです。